節分 豆の事故多発
もうすぐ節分ですね。節分とは、「季節を分ける」ことを意味し、本来は立春、立夏、立秋、立冬の前日のことをいいます。しかし、旧暦では立春が年の始めにあたることから、いつのころからか節分といえば春の節分のみを指すようになったそうです。
昔は、季節の分かれ目には「邪気」が入りやすいと考えられており、立春の前日の節分は、大晦日にあたる一年のなかでも最も大切な節目だったため、邪気(鬼)を追い払うため、節分には古くから豆まきの行事が行われるようになったそうです。鬼に豆を投げつけて追い払う行事は、中国伝統の行事「追儺」(ついな)からの由来です。一年の無病息災を願う意味があります。
日本の伝統的な行事でもあり、イベントとしてとても楽しい節分の豆まきですが、小さなお子様をもつご家庭の方は、ちょっと耳を傾けて下さいね。
子どもが豆を気管支などに詰まらせる事故が、特にこの時期に多く起きています。
食物、その他の物体の誤嚥により14歳以下で亡くなった子どもは、2015年に49人です。また、気道異物事故に関する全国調査(15歳以下)では、一年半の間で170件の症例が報告されており、年齢別にみると8割弱が2歳以下です。誤嚥の原因となる異物の種類では、3歳以下の子どもの多くはピーナツ類の豆類が最も多く占めています。お餅や蒟蒻ゼリーの誤嚥は、よく耳にしますが、豆類も危険なのです。大人からしたらこんな小さな豆で詰まってしまうことが考えられにくいですが、特に小さな子どもにとっては、与えてはいけないとさえ言われています。
子どもの豆の事故が起きやすいのはどうしてでしょう。ピーナツなどの豆類が原因になる理由としては、丸くてつるつるしている形状と、硬さが関係していると考えられます。もうひとつは、子どもは歯がしっかり生え揃っていないため、食べ物を飲み込む力が十分に発達しておらず、咀嚼力が不十分でうまく噛み砕くことが難しいことがあげられます。
少し噛むと、かえって吸い込みやすい大きさになってしまうこともあります。そしていったん入った豆は、大人であれば大きな呼吸で吐き出すことができきても、小さな子どもにはできません。
個人差がありますが、乳歯の一番奥の臼歯(E)※は、2歳3~6か月で下から生え始め、上の一番奥歯の臼歯(E)は2歳6か月で生え始めます。歯は、生え始めてから上の歯と下の歯が噛み合うようになるまで数カ月かかります。Eより先に生えてくるDが噛む機能を営むようになるのは、1歳8カ月以降になります。さらにその奥のEは2歳9か月頃上下が生え揃うので、子どもが成人に近い咀嚼機能を獲得するのは3歳過ぎになります。私達は基本的に、前歯で噛み切り、奥歯で噛みつぶして嚥下していますが、乳幼児は歯が生えたからといって、まだまだ食物の噛みつぶし、すりつぶしが上手くできるわけではない事をふまえ、食べ物の大きさ、硬さには十分注意が必要です。
※ (乳歯は正式名称の他にアルファベットで表され、前歯から奥歯に行くに従い、ABCDEと呼びます。)
〈豆まきには、こんなことに気を付けて!!〉
・3歳になるまでは、ピーナツなどの豆類は与えないようにしましょう。
・豆まき後はしっかり拾いましょう。また豆が散乱しないように、ラップで包む、小分けの袋入りの豆を使用するなど工夫も大切です。
・喉につまらせないように必ずそばで見守るようにしましょう。
口に入れたまま走る、飛び跳ねる、大笑いは危険です。
今年も年に一度の楽しい豆まきの行事が待っています。豆類以外にも、お菓子を投げるご家庭もいらっしゃるのではないでしょうか。楽しい行事でお子さん達のテンションは上がっているはず!!豆類以外の食べ物でも、食べ方によってはちょっとした拍子に誤嚥になる危険がありますよね。 安全には十分注意し楽しい節分をお過ごし下さい。